ロサンゼルスの思い出

GTAオンライン(Xbox360海外版)の小説化

桟橋の下で取引を邪魔する(後編)

「徒手空拳で戦車と戦うよりはいいだろう」と自分に言い聞かせ、絶対に弾丸を命中させられる位置までにじり寄った。俺は上達した銃の腕前を遺憾なく発揮し、素早く2人、ヘッドショットで始末した。
 これが俺にとって初めての殺人だった。何人か交通事故で死なせてるかも知れないが、ちゃんとした意思を持って人を殺したのは初めてだった。しかし、不思議と罪悪感は芽生えなかった。ギャングどもが、自由意思を持たない木偶人形に思えたからだ。ロボットを壊したような感覚だった。
 彼らは慌てて銃を抜き、応戦した。何挺もの銃が火を吹いた。そのうち1人はショットガンを所持していた。勝てる希望が一気に薄れた。あの散弾を浴びたら、浴びた場所がグチャグチャに削り取られ、即座に死ねる。俺は柱に隠れ、祈る気持ちでじっとした。弾丸が通過していく軌跡が見えた。
 業を煮やしたのか、スキンヘッドの男がナイフを振りかざして駆け寄って来た。ノーガード戦法すぎる。俺は落ち着いてヘッドショットした。ラッキー。
 やはり「下っ端でも出来る簡単な仕事」の看板に偽りはないのかも知れない。彼らの動きは、シロウトの俺以下だった。あのレトロプロダクトなら5秒で全滅させられるだろう。俺にも出来る。焦らず、1人ずつ殺すんだ。
 キレのある動きで俺は柱から飛び出し、最も近くにいたを撃った。浅い。ヘッドショットならず、肩を貫いた。汚いタンクトップを着たその男は、苦し紛れにショットガンを発砲した。ショットガンの弾は拡散する。それは俺の上半身にまぐれ当たりした。ごっそりと大胸筋がえぐられ、アゴも削り取られた。顔の大半が無事だったのは喜ばしいことだが、俺は死んだ。
 ビーチバレーのコートに復活した俺は、急いでトンネルに戻る。壁に背をつけ、チャンスを待つ。目標に対して多少遠距離であり、命中率も下がるが、この位置から撃った方が安全ではある。LAガンクラブで特訓した成果により、射撃技術はこちらの方が一枚も二枚も上手だ。命中率が下がったとて、相手の命中率はもっと下がるはず。距離が離れているほど相手よりも圧倒的なアドバンテージとなる。敵の弾はそうそう当たりはしないだろうし、当たったところで先ほどのような致命傷にはならないはずだ。こちらは壁に隠れているが、あちらはワゴンや細い柱に隠れるしかなく、遮蔽物の大きさでもこちらに利がある。この勝負、いける。
 俺は丁寧に一人ずつ始末した。何発か被弾したが、命に別状はなかった。やがて敵が一人だけ残ったとき、相手がリロードをしている隙をついて特攻、走りながら敵の腹めがけてありったけの弾をねじ込んでやった。
 死屍累々ギャングや暴走族が横たわる中、お目当てのブツを拾い、ついでにショットガンも入手した。アメリカンバイクにまたがり、サンタモニカビーチを後にした。
 図体のでかいバイクはハンドリングが難しく、俺は何度かカーブを曲がり切れずに転倒事故を起こした。それでも、どうにかこうにか、色眼鏡をかけた黒人のデブのアパートに到着した。ブレーキのタイミングをミスし、塀に突っ込んでバイクから転げ落ちた。
 呼び鈴を押すと前回同様デブがゆっくりと顔を出し、無言でブツを受け取り、「OK。クール」とだけ言って報酬を支払ってくれた。