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ロサンゼルスの思い出

GTAオンライン(Xbox360海外版)の小説化

ガレージを購入する

 その後、俺はストリートレースへの出場を繰り返した。さまざまなタイプのレースを経験したが、1着でゴールできることは稀だった。いわゆる「初見殺し」のコースは、通過すべきチェックポイントが新参ドライバーにはわかりにくく、何度もそのコースを走破しているベテランにはとてもじゃないが太刀打ちできなかった。誤ってカスタムカー使用可能なレースにエントリーしてしまった時は、長距離のコースを走り屋たちと競走する羽目になり、まったく歯が立たなかったため途中でリタイヤした。
 そうこうするうちに俺の運転技術は見る見る向上し、自力で1位になる回数も増えてきた。寝食を忘れてストリートレースに出場しまくった。そしてついに、念願のガレージを購入する資金が貯まった。
 俺はスマホから不動産のサイトにアクセスし、最安値のガレージを検索した。あまり田舎だと不便なので、ロサンゼルス市内に限定した。あった。市の中心部からは少し外れるものの、一応都市部。収容可能台数は2台。買うぞ。ここを買うぞ!
 慣れない英語に戸惑いながら、クレジットカードで決済をした。残金はほとんど残らなかった。契約書などの書類とガレージの鍵が届いた。タクシーを拾い、書類に書かれた番地や地図を示してガレージまで連れていってもらった。降車する時はちゃんとタクシー代を払った。
 そこは初めて利用した自動車修理工場(盗んだハチロクのボディーペイントとナンバープレートを変えた工場)のすぐ近くで、人通りは少なく、ロサンゼルスらしくない、とても陰気な地区だった。ガレージが建っていたのはやはり高速道路のガード下で、終日、陽の差さない日陰だった。すぐそばにスケートパークがあり、地元のギャングがスケートボードを滑らせたりするのだろう。値段相応のガレージだった。鍵を開け中に入ってみると、ほこり臭く、古びた工具が放置されている。ネズミの巣のような車庫だったが、こんな場所でも俺の物だ。俺の不動産だ。俺はストリートレース連続出場の苦労を偲んだ。
 さっそく保険会社に連絡し、愛車ハチロクを運送してもらった。ハチロクは生まれ変わったようにピカピカだった。そして、日給50ドルで専属の整備士を雇った。愛車のメンテナンスの他、電話1本で俺の元へ車を配車してもらう契約を結んだ。