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ロサンゼルスの思い出

GTAオンライン(Xbox360海外版)の小説化

金だ!とにかく金だ!

 義兄弟の契りを結んだあと、レトロプロダクトは右手を振って別れの合図をした。俺もひらひらと手を振り返した。レトロプロダクトの肉体は煙のように霧散した。
 周囲数百メートル、まったく人の気配がしない砂漠。スマホを取り出し位置情報を確認する。建造物どころかまともな道路もない。そこで保険会社に連絡し、慣れない英語で、愛車ハチロクの代車を届けてくれるよう請求した。するとオペレーターから「保険金は支払われているが、ガレージに納車するのでガレージの住所を教えてほしい」と言われた。つまり、ガレージを購入するか借りなければ、愛車ハチロクと再会することは出来ないというわけだ。俺は落ち込んだ声で代車依頼を取りやめ、砂漠に立ち尽くした。
 とにかく、車がないと話にならない。そのためにはガレージを保有していなければならない。仕事をしなくては。
 ここロサンゼルスにおいて、俺のような男でも出来る仕事と言えば、きな臭い裏稼業しかなかった。裏稼業をまっとうにこなすには、銃器の類が必須だった。
 連射できる銃が欲しい。ピストルは発射間隔が長すぎる。1発ずつしか撃てず、マシンガンに太刀打ちできるはずがない。火力の強い銃さえ持っていれば、俺だってあのクソパイロットに一矢を報いることも出来たはずだ。しかし銃を買うにも金が要る。金だ。とにかく金だ。外国人の俺がここロサンゼルスでのし上がっていくには、何よりも金が必要である。
 手っ取り早く金を得るには各所のコンビニを襲えば良さそうだ。だが、リスクが高いし、1軒や2軒強盗したところで、ガレージや武器を購入できるほど莫大な金額が手に入るとは思えない。
 車をかっぱらって中古車ディーラーに流すという手もある。しかしながら闇市場では、警察の目を気にしてか、盗難車の連続売買を控える傾向にあるという。短期間で大きな利益を上げるにはあまり適していない。
 運転にだけは自信がある。賞金の出る非合法のストリートレースに出場しようと思った。