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ロサンゼルスの思い出

GTAオンライン(Xbox360海外版)の小説化

レトロプロダクトがヘリを落とす

 まさかいきなり飛び降りるとは思わなかった。俺を殺すためにああいう行動に出たのだろうか。そうは思いたくない。殺すつもりならとっくに銃弾を食わせていただろうし、飛行機にも乗せてくれてないはずだ。もう会えないかも知れないが、あいつらはいいやつらだった。俺が彼らの狂った遊びについていけなかっただけだ。
 ゆっくりと辺りを見回す。田舎道。街路樹もなく、道路以外の地面は未舗装の、荒野のような場所だった。交通量も少なく、貧乏くさい車ばかりだった。たまにトラクターが通る。それくらいののどかな僻地だ。遠くで旅客機の残骸が火山のように燃えている。
 タクシーやバスも通らないので、しかたなく、通りがかったピックアップトラックから農夫を引きずり下ろし、急場しのぎの足とした。
 20分ほど運転していると、行く手に大きな看板が見えてきた。数件の店が立ち並んでいて、ちょっと立ち寄ることにした。ダイニング、ガソリンスタンド、ドラッグストア、コンビニ、服屋、ペットショップ。まずは服屋のガラス戸を押した。
 Tシャツ、ズボン、靴、帽子。いろいろ試着したのち、グレイのワイシャツ、キャンパス・ブルーのスーツ上下と、黒いネクタイ、黒の革靴、フェドーラ帽を買った。鏡の前で整った身なりにうっとりしていると、突然、遠くで爆発音が聞こえた。その音は徐々に近づいてくるように思えた。店の外では悲鳴も上がっている。俺も外に出て、音の出どころを探った。トラック運転手や地元の酪農家が上空を指さして何かわめいている。
 ヘリコプターが飛んでいた。ミサイルを地上に向けて発射していた。軍事演習だろうか。はたまたテロリストを追っているのか。ああ、そういえば近くに刑務所がある。脱獄囚を狙っているのかも知れない。
 一定の間隔で発射されるミサイルはほとんどが地面に着弾し、時には道路を走行中の車に直撃した。タンクローリーが映画さながらに大爆発した。歩行者はパニック状態となって逃げ惑い、建物の中に避難したり、慌てて車でその場を離れたりした。
 俺だけはぼんやりと空を見上げたまま、ヘリコプターのかっこよさに見とれていた。そのうちようやく気が付いた。着弾点が段々と俺に近づきつつあるのを。俺を狙っているのだ。ヘリは人間に対する自動追尾機能は保持していないらしく、ふらふらと揺れながら、どうにかして俺を木端微塵にしようとたくらんでるようである。
 あんな戦闘ヘリにも命を狙われるのか。やれやれ。治安が悪いってレベルではない。暗黒社会の大物ならまだしも、こんな駆け出しの犯罪者を相手にして何の得があるのだろう。しかも圧倒的な戦闘力差。卑怯だ。
 何発かピストルを撃ってみた。届くはずがない。あちらのミサイルもなかなか当たらないが、徐々に精度を増してきている。ヘリコプターは少し高度を下げ、機体を安定させた。ミサイルが俺に直撃するのは時間の問題だ。
 どうしたものかと考えあぐねていると、急にヘリコプターはバランスを崩し、墜落し、地上で爆発、炎上した。はっと気づくと、白いコートに白いテンガロンハット、スナイパーライフルを構えたレトロプロダクトが真横にいた。恐るべき精密射撃で彼がパイロットを撃ち抜いたのだ。
 俺は目をきらきらさせ、彼に敬礼した。彼も軽く敬礼を返し、スナイパーライフルをカービンライフルに持ち替えて走り出した。どこに向かうのか。俺も後を追った。