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ロサンゼルスの思い出

GTAオンライン(Xbox360海外版)の小説化

6輪ベンツ

 6輪ベンツはセダンではなく4人乗りのトラックだった。コーンロウが運転席、レトロプロダクトが助手席、豚マスクが後部座席にそれぞれ乗り込んだ。俺も乗っていいのか躊躇していると、優しくクラクションが鳴らされた。乗れという合図だった。俺は喜々として豚マスクの隣に座った。スーパーカーは2人乗り。4人で行動するのには不向きなので乗り換えたのだろう。6輪ベンツはパワフルな馬力で岩肌を走破し、谷合の高速道路をトラックとは思えない速度で走り始めた。ニトロを積んでいるらしく、時折プシュプシュと音がした。
 猛スピードでドライブする中、各自GPSマップを眺めている。何だろうと思っていたら、豚マスクが無言で俺のスマホを取り上げ、何かのアプリをダウンロードした。すると、GPSマップ上に4つの丸が表示されるようになった。このアプリは俺たちのような犯罪者の位置情報を表示するアプリだった。
 遥か彼方にサービスエリアが見える。レーダー上では、そのサービスエリアに丸が2つ。つまり、俺たちのような者が2人いる。6輪ベンツはサービスエリアに向かって一直線に爆走した。
 スロープを上がると、ガソリンスタンドの近くに、サブマシンガンをこちらに向けて臨戦態勢を取る2人組がいた。一触即発の雰囲気。豚マスクが6輪ベンツを降りた。殺るか殺られるかが基本のロサンゼルス、お決まり通りドンパチが始まるのかと思いきや、豚マスクは丸腰で2人組に近づき、例の腰ふりダンスを披露した。2人組は銃を下ろして豚マスクを見守った。
 コーンロウがクラクションを鳴らした。豚マスクが戻ってきて、2人組も警戒しながらそれに続いた。豚マスクはさっきまで座っていた後部座席ではなく、荷台にのぼった。え、そこ乗れるの? 2人組は少し尻込みをしていたが、やがて1人が後部座席に、もう1人が荷台に座った。俺は初対面のギャング5人と、あいさつもろくにせず、同道の仲となった。
 6輪ベンツは速度を抑えて高速道路を南に走った。速度を抑えたのは、荷台に人が乗っているからだ。とは言え、先行する車両をびゅんびゅん追い抜いていく。荷台の2人はピストルを横に寝かせて構え、周囲の車をおどかしている。銃口を向けておどすだけでは飽き足らず、発砲もした。
 レトロプロダクトが反対車線に向けてサブマシンガンを乱射した。俺もピストルを撃った。みんな空に向けてそれぞれのリズムで発射した。パレードでクラッカーを鳴らしている気分だった。
 前方を走っているトレーラーが驚いて、ハンドルを制御できず左右にケツを振り始めた。6輪ベンツはコンテナに接触して高速道路を外れ、ガードレールの外に飛び出した。眼下は、10メートルもあろうかという、谷。空中に放り出された瞬間は、時間が制止したようだった。地面まで5メートル、4メートル、3……。
 激しい衝撃。地面に叩きつけられた6輪ベンツは何度も横転し、地面の傾斜も相まって、落下地点から100メートルほど下った場所でようやく停止した。荷台の2人は途中で投げ出された。死んだな、と思った。しかし2人はすぐ起き上がり、全力ダッシュで駆けてくる。コーンロウは車をその場に待機させ、2人の帰還を待った。俺はいったん降車し、荷台によじ登った。乗ってみたかったのだ。
 悪乗りしたコーンロウが、ほぼ垂直に切り立った崖を上り始めた。ダメだった。岩の出っ張りに引っかかって6輪ベンツはいったん裏返しになり、俺と豚マスクは荷台から転げ落ちた。6人が6人とも爆笑した。