ロサンゼルスの思い出

GTAオンライン(Xbox360海外版)の小説化

レトロプロダクト

 間近で見るテンガロンハットはミラーサングラスの下に精悍な顔立ちを隠していた。コードネームは「レトロプロダクト」。ロサンゼルスの犯罪者には裏稼業の実績に応じたランク付けがあるが、彼はランク100を超えていた。
 レトロプロダクトの運転する漆黒のスーパーカーと、コーンロウの運転する深紅のスーパーカーは、追跡するパトカーを軽々とぶっちぎり、先回りした応援のパトカーも難なくかわした。急な坂道を一気に上り、頂上で宙に飛び出した。浮かび上がる車体。空中で姿勢を制御し、華麗に着地する。時速200キロメートル近く出ていたが、超一流のドライビングテクニックで滑るように走った。
 警察の追跡はしつこかった。追いすがりながら発砲もしてきた。上空からはヘリコプターが俺たちの逃走を阻止しようと試みる。狙撃手のマシンガンによって、光の雨が地上に降り注ぐ。ただしこのスーパーカーは背面が防弾仕様になっており、たとえ被弾しても乗員には何のダメージもなかった。レトロプロダクトは右手でハンドルを握り、左手のサブマシンガンを窓から後方に向けて連射した。1台のパトカーが突然コントロールをうしなったように路肩に突き刺さった。運転手を射殺したのだ。驚愕すべき腕前だった。俺も何もしないわけにいかず、窓から上半身を乗り出して後方にピストルを乱射した。何発かパトカーのフロント部分に着弾したが、無意味だった。あんなに射撃訓練したのに。逆に、警察の弾が腕に当たった。痛かったので助手席に引っ込んだ。コーンロウの運転するスポーツカーからは手榴弾が的確なタイミングで投下され、後続のパトカーや一般車両を次々に爆発させていた。
 2台のスーパーカーは山を登り始めた。山道ではない、山をだ。平坦な舗装道路専門のスーパーカーのくせに、オフロード車よりも高い登坂性能でグイグイと、崖に近い急斜面を上がっていく。当然パトカーは追ってこられない。唯一追跡を継続していたヘリコプターは、車から一旦降りたコーンロウが、ロケットランチャー1発で始末した。
 豚マスクがどこかに電話をした。指名手配の解除を依頼しているようだった。電話を終えた彼は親指をビシッと立てた。
 今度はコーンロウがどこかに電話をした。部下に車を配達するよう依頼しているようだった。ほどなくして、見たことも聞いたこともない6輪のベンツが配車された。