ロサンゼルスの思い出

GTAオンライン(Xbox360海外版)の小説化

コンビニ強盗

 小腹がすいたのでコンビニエンスストアで何か買おうと思った。
 カロリーメイトやお菓子、ジュースやタバコなどを買い物かごにどっさり入れてレジで会計。財布の中をあらためたとき、弾丸を買ったせいでお金が残っていないことに気が付いた。しかし、何も持たず店を出るという選択肢は俺にはなかった。しかたがない。俺はピストルを店員につきつけた。店員は目を見ひらいて両手を挙げた。他の客は出口に殺到し、店の外では悲鳴や怒号が聞こえた。「カネ」という単語を連呼し、レジから金を要求すると、店員はレジの中身をビニール袋に移しだした。恐れおののきながらのその作業はまだるっこしく、早く早くと叫ばずにはいられなかった。
 レジの中が空になり、店員はビニール袋を床に投げてきた。俺がしゃがんでビニール袋を拾うと、その一瞬の隙をついて、店員はセキュリティーアラームボタンを押し、奥の事務所に逃げ込んだ。
 俺は脱兎のごとく店を出たが、遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。早い。間もなくこのコンビニに急行してくるのだろう。一刻も早くこの地区から脱出しなければ。
 交差点に向かって猛ダッシュした。信号待ちの運送バンにピストルを突きつけ、配達のお兄ちゃんに車を譲ってもらった。アクセルを思いっきり踏むと、タイヤは大きなスキール音を立てて空転した。白い煙が立ち上り、ゴムの焼ける匂いがした。
 バンがようやく動き出し、徐々に加速する頃には、パトカーが後方に姿を現した。俺はがむしゃらに逃走し、渋滞を避けるため歩道を走行した際に何人か通行人を撥ねた。罪がどんどん重くなった。追跡するパトカーは台数を増やし、大捕物劇の一団はハリウッドの方角に向けて一丸となった。頭上でヘリコプターが飛んでいる。当然俺を追っているのだろう。指名手配をされる大罪人になってしまった。
 パトカーに後ろから容赦なく追突された。横転させてでも停止させる気なのだろう。1台のパトカーが速度を上げてバンの前に回り込み、体を張っての体当たり。バンは横滑りをし、車体の左側が浮いた。片輪走行の状態になったがハンドルをこまめに切って体勢を立て直す。
 これ以上速度が上がらないので、絶対にぶっちぎれない。一計を案じた俺は、中央分離帯のガードレールが途切れている箇所、やわらかいラバーポールが林立する場所を突き抜け、一か八か対向車線に躍り出た。
 命がけの逆走。対向車は急ハンドルを切って俺を避ける。バンは時速100キロメートル、すれ違う対向車も時速100キロメートル。相対的に、前方から時速200キロメートルで自動車が突っ込んでくる世界。握ったハンドルを決死の思いで左右に回すが、バンはあまり小回りが利かない。同じく小回りが利かないトラックと、必然的な結果ではあるが、正面衝突をした。トラックの運転手は即死。俺も頭を打った。
 トラックにめりこんだフロント部分を引き抜く手間を惜しみ、バンを乗り捨てた。ガードレールを乗り越え、道路脇の山を這い上がる。草で滑り、容易には登れない。俺の足元に何台ものパトカーが集合し、警察官がぞろぞろ降りてくる。俺のあとに続いて山をよじ登りながら、発砲を開始する。ひゅん、ひゅん。背後から耳元を銃弾が追い抜いていく。何発か被弾した。
 俺はなんとか頂上に到達し、そのまま向こう側へと駆け下りた。足がもつれた。急斜面を転がった。止まれない。頭をしこたま打ち、岩肌に激突して肩を骨折したが、転落速度はさらに勢いを増し、山の麓までノンストップで転がり落ちた。樹木に引っかかってようやく止まった。
 茂みの中で身をひそめる。ようやく山を登り切った警察官は俺の姿を見失い、尾根から麓に向けて威嚇射撃をしている。息を殺してじっとする。そうして数分、茂みの中で動くのをこらえていたが、上空を旋回していたヘリコプターが俺の姿を目ざとく見つけ出し、茂みを根こそぎ伐採する勢いで銃弾の雨を降らせた。
 俺は死んだ。